亞的呼聲 Adiffusion

中華と酒と銭湯と

入江啓四郎『支那新聞の讀み方—中國報紙研究法—』(タイムス出版社、1935年)

 「読書メーター」というものを、大学入ったあたりからやっている。読んだ本や読みたい本などを記録し、感想も書き留められる。読書ノートの代わりに使っていた。一ヶ月の読書量が、冊数・ページ数で出てくるのも、先月より多く読んでやろうという気持ちにさせられる。もっとも、感想はめんどくさくなって書いていないものも多いのだけど…
 この読書メーター、一時期はアドレスが完全にオーナーの名前になっていたり(理由は不明)、スマホ用アプリの仕様が数年間全く更新されないなど、最悪の使用感だった。とはいえ先月あたりにアプリは大幅アップデートがなされ、非常に使いやすくなったと思う。最近自分の周りのユーザーがほとんど更新しないので心配だが…(サービス終了すると読書記録が)

bookmeter.com

 さて、今年も終わりなので色々と今年読んだ本を見返しつつ、買ってよかった、読んでよかったものを見ている中で、取り上げておきたいものがあった。標題にある

入江啓四郎『支那新聞の讀み方—中國報紙研究法—』タイムス出版社、1935年

である。これは神保町の叢文閣で2,000円とかだった、昭和12(1937)年12月にこの本を購入したU田さんのサインも付いている。

支那新聞の読み方―中国報紙研究法 (1935年)

支那新聞の読み方―中国報紙研究法 (1935年)

 

  この本、意外と今でも使えるのではないかと思うし、レビューやっているブログ等も見当たらないので*1、本記事ではこの本の特徴を紹介をしながら色々考えていきたい。が、すでに年越しそばで日本酒1合くらい飲んでしまっているので本年中に書き上がるかはわからない。

*1:全く同じ年に清水元助、有馬健之助『支那新聞の讀み方—時文研究—』(外語学院出版部、1935年)というものがあり、こちらについては同様に神保町で発見した方のブログ記事があった。出版が近いので、もしかしたらどちらかは便乗本なのかもしれない。満洲事変が一応の決着を見、日華事変が勃発するまでの、日中交流が最後に盛り上がった時期にあって、同様の書籍は沢山出ていたことだろうし、また日華事変以降は一層需要が高まったことだろう。尚、有馬は1940年にも同様の『支那時文研究』なる本を出版している

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りんご飴、糖葫蘆、Candy Apple

おはようございます、いよいよ年の瀬といった感じ、年末イベントを沢山控えて皆さん如何お過ごしですか?自分は先週末から多分ノロ人(ひと)になってしまい、高熱と吐き気、胃のむかつきに苦しんだ。横浜を愛する普通の横浜人だけど、暫く家系ラーメンは控えようと思います……

 ところで、昨日たまたま糖葫蘆(糖葫芦/tánghúlu)という食べ物の話になった。糖葫蘆というのは中国の街中でよく見る、果物を串刺しにしたやつに水飴をかけて固めたおやつだ。串に刺されているフルーツは、最近だとイチゴとかマスカットとか色々あるけど一番の定番はやはり山楂(さんざし)である。

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 山楂はバラ科の果物で、甘酸っぱくてビタミンC多そうでおいしい。同じバラ科のスモモのような、リンゴのような、まあ山楂の味がする。おいしいと書いている以上自分ももちろん好物なんだけど、日本国内では中華街でも糖葫蘆を売っているのを見ないし、もしかしたら生の果実がそんなに出回っていないのかもしれない。
 日本で馴染みがありそうなものだと永昌源の山楂酒だろう*1。あと、個人的には果肉に砂糖や寒天混ぜて乾燥させた山楂條という乾き物(といってもネットリしてるけど)がおすすめ、お茶請けに良い。これは中国物産店で本当に安価に購入できる……

*1:永昌源といえば、満洲樺太で酒造業を営んでいた引揚者が立ち上げた会社である。戦後日本における中国酒の普及に「満洲」が絡んでいたのだ

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日原古道に行った(その4・終:樽沢を経て日原へ)

(前回まで:その1, その2, その3

最高ポイントで休憩した後、先へ進む。
「古道」は日原村手前で渓谷を渡るため、この地点を境に次第に下ってゆき、渓流に近づいていく。

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 ここが道中でもっとも高く日当たりがよい場所なのだが、同時に風化も相当強いようで、石灰の露頭っぽい岩肌がモロモロしていて非常に頼りない。崩壊の防止に人為的に植えられているものかわからないが、斜面には似たような感じの灌木がそれなりにまとまって生えていた。これが地味に安心感を与えてくれる。
 この箇所、対岸から見ると白い岩肌に張り付くようにして長大な石垣が組まれているのだが、現地では白っぽい砂利が積もっているわずかな幅の平場があるだけで、渡りきるまでその全貌を確認することはできなかった(そしてまともな写真を撮るのを忘れていた)。というか、これ多分日原側から渡るとなまじっか全貌が把握できてしまうので、恐怖で進めなくなると思う。高さと傾斜が異常なんだよな…

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日原古道に行った(その3:廃吊橋〜最高地点)

(前回まで:その1その2

採掘場向かいの広場から先を進む。
ここから先は地図でも実線が失われるので無理はせず、行けるとこまで行こうという感じになった。

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 道の傍らに早速物々しい坑口が口を開けていた。この山、石灰採掘で穴だらけなんだろうな、対岸の発破とか地震とかあったら怖いですね。
 とはいえ先ほど眺めた奇観の余韻もあって、そんな感じで脇見をしつつのんびり楽しみながら歩いていたのだ。その後に訪れる恐怖も知らずに……

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日原古道に行った(その2:「古道」入口〜廃吊橋)

前回からの続き)

 さて、「日原古道」に入る。「山行が」のレポート時点では古ぼけた林業関係者以外立入禁止の看板が入り口に存在したらしいが、確認できなかった。まあ観光地図に載ってるしね。ここまでで既にそれなりに山登りをしているので結構疲れている。古道は途中まではあまりアップダウンしないだろうと期待しながら進んでいく。

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 序盤は下草もや落石もなく、等高線をなぞるように進んでいく。木漏れ日が心地よい道だ。なんでも、渓谷添いにある東電の鉄塔の保守用に今でも使われているようである。まあ、地図では実線で書かれている範囲なのでかなり気楽に歩いていける。

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日原古道に行った(その1:氷川→大沢→「古道」入口)

 こんにちは。すっかり冷え込んで火鍋が恋しい季節になりましたが、みなさん如何お過ごしでしょうか。自分は火鍋のことばかり考えて過ごしています。

 

 今週のお題は「今年買ってよかったもの」らしいですが、自分が買ってよかったと思うのはOLYMPUS PEN EES-2です。ヤフオクで2500円とかでしたがセレン含め正常に動作しています。ハーフカメラなのでフィルムの粒子感も強く出るし、何より1枚あたりの現像代が半額で済んでお得。

 というわけで、先日奥多摩で撮影した諸々がようやく現像できたのでやっていきます。経済的な反面、36×2=72枚、使い切るのは意外とめんどくさい…笑

 

某日の週末、9時過ぎ。JR奥多摩駅到着。
 今回の同行者は香淀(@xiang_dian)さん。内陸の特殊な環境で医学を学んでいるオタクさんだ。山登りの経験があるので今回の「道歩き」の水先案内人にはふさわしい…

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駅前のこの食堂跡、マジでいい味出してますよね。馬鹿なので行くたびに写真撮ってる気がする。

 今回の主要目的地は「日原古道」。日原渓谷の北側に自動車道が整備される以前まで長らく日原氷川間を結んでいた道である。2人とも「山行が」で育ったのでここは以前から行ってみたい所の一つだった。先人の知見をそのままトレースするので新規性はまったくない記事になります。とはいえこれはレポートを拝読していなかったら踏破は土台無理だったろうと思います……まあ、PENで撮った写真見て!という記事です。

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鹹肉(咸肉, 中華風塩豚)を作る【後編】+上海菜飯ふたたび/ 自製鹹肉(後篇)

(今回の記事は前編からの続きです)

  • 重石をかけ、ドリップの排出を促す
  • 乾燥させるていで放置(食べるのが怖いので)
  • 上海菜飯ふたたび

前編では2日目にドリップを捨てるところまでやった。

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ドリップはほぼ落ちなくなったものの、なんとなく内部の水気が心配になったので、いくつかのレシピに記載のあった重石を試してみることにした。クッキングペーペーを挟んで、大昔の学部便覧とビールで肉をいじめる。

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