亞的呼聲 Adiffusion

中華と酒と銭湯と

年の暮れ、横浜の乗り物(AIR CABIN、シーバス、三和楼、徳記)

①YOKOHAMA AIR CABIN

 2021年末、横浜市中心に出ることがあったので、色々と博物館など行こうかと思ったが年末だったので全部閉まっていた。折角なのでYokohama Air Cabinなるものに乗ることにした。

 

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それなりに混んでいた。待ち時間は5分程

 桜木町駅前から新港埠頭片道630mを結び、所要時間は5分、運賃は1000円。正直めちゃ高い、こんなん誰が乗んねんというのが正直な気持ちだが、1組で8人乗りのゴンドラを使えるので家族や友達と乗るといいかもしれない。

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こういうのどっかで乗ったな、と思ったが永利皇宮のSkycab(觀光纜車)だった。あれは無料だったが*1

 微妙な高さから汽車道を歩いていく人々を見下ろす、後ろ向きな楽しみ方をする。ドアの付き方的に、みなとみらいのビル群を眺めるのは新港埠頭側から桜木町へ帰る方向の方がより綺麗に見えると思う。360度満遍なく見渡せるので意外と良かった。またすぐ乗るかと言われたらそれはないけれども。

 

個人的には、汽車道(臨港線)に単線のライトレールでも通して山下公園あたりまで運んでくれるとすごく嬉しい。

 

②北仲ブリック

帝蚕倉庫が破壊された跡地。

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 昼飯に「博多天ぷら たかお」の定食を食べる。揚げたそばから手前の金網に置いていかれるので、神保町にあった「いもや」を思い出す。こちらは衣がサクサク、あちらは衣が厚めの柔らかい感じではあるが。黒烏龍茶は閩北の、とのことだがそれはあまり特別な感じはしなかった。ここは浅漬けと明太子、白飯が食べ放題なので、天ぷらの残機数と白飯の残り具合を気にせず食べられてよかった(いぢましい)。

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 在華坊さんら横浜市中心の方々がおすすめされていたザ・タワー横浜北仲の展望台。3回目だがいまだに全然人がいない(年末だから?)。冬は空気が澄んでいるので、遠くまで見渡せて気持ちがいいですね。この日は内海なのにやたらと海水が澄んでいて、どこへ行っても綺麗な青色をしていた。

③三和楼

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北仲から赤レンガ倉庫方面に戻り、撤去されるモミの木を眺めた後、夕方からは中華街へ行った。

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上海料理の老舗、三和楼にやってきた。

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龍井蝦仁(剥き海老の龍井茶炒め)

 叉燒、白切雞、海蜇の拼盤と龍井蝦仁が同居する図。どのような看板の店にも複数菜系の訓練を積んだ料理人がおり、一度にどちらも楽しむことが出来るのは横浜の良いところだと思う。龍井蝦仁、初めて食べたが餡に香る緑茶の香りが快く、淡白な味付けで美味かった。本場では多分川エビでやるのだと思うけど、是非また華東に行って色々食べてみたい(華東の料理は台湾に負けず劣らず茶色いという偏見がある)。

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奶油津白(白菜のクリーム煮)

 上海料理というと自分はこの奶油津白が好きで、大埔の三寶勝上海美食とかでもよく注文した。優しい味で、これを嫌いな人は全宇宙にも存在しないと思う。ここのはかなりクリームが多めだった。

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 〆はあさりそば。吉兆のあさりそばはスープが茶色くかなりパンチが効いていたが、ここのは澄んだスープにとろろめなども入っていて上品な味。スープが美味く、無論飲み干し……

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 結局麺だけでは〆られず、いつものように鮮芋仙で豆花を食べてしまう。鮮芋仙マジで近所に欲しい、近所の珍珠奶茶屋3軒くらい生贄にしたら召喚できないか?

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あとは、家に切らしていた雞蛋麵などを買い込み、終了。

④徳記

純廣東料理

 翌日昼は、純廣東料理を食べにきた。オーナーが変わってから来れていなかったのだけど(店の前まで行ったら内部裝修していてかなり悲しくなったこともある)、昨日はハレの中華料理だったから、今日はケの中華料理食うぞ!という口になっており、ここの豬腳麵が無性に食べたくなってしまった。

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豬腳麵(豚足そば)

 今の料理長は四川料理の経験を積んだ方らしく、箸袋やおすすめメニューからもそれが窺える。でも豚足そばは先代の様式を残していて感動があった。先代の事頭婆から厳しく指導を受けて覚えた食べ方で、頂く(お婆さんの厳しくも温かい指導は、立石の鳥房を思わせる感じだった。いや、徳記はもっと、ビっとしたムードではあったが)。

 そのままでも美味い汁そばから麺をたぐり、ブルンブルンでトロトロの豚足を食ったスペースに放り込んで煮汁をつけて食べる。やはり、この見た目とボリュームなのに、意外にしつこくない味なのが凄いと思う。

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酸蘿蔔あるじゃん!!!!

 嬉しい驚きとして、付け合わせに酸青瓜蘿蔔が登場していた。これ齧ると一気に開胃され、無限に麺が啜れるようになる気がする。これは以前には無かったはずで、しかも今も豬腳麵を頼まないと付いてこないようだ(他のメニューの場合は搾菜になっていた)。

 麺も相変わらず美味く(前と比べてどうか、というほど来れていないし、何年も前の記憶でどうこうできるほど上等な舌の持ち主ではないが、美味いものは美味かった)、そして会計も中華街にしてはかなり安かった。また来たいと思う。

⑤シーバス

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勿論満席ではないが、意外に人が多く乗っていた

 一瞬で香港の粉麵店に行ったような気分になり、これはもう帰りはハマの天星小輪に乗って九龍へ、そして横濱新界(港北)へ帰るしかないのだ。山下公園1400発横浜駅東口直行便(所要時間20分)と1410発鈍行(所要時間40分)、自分は渡船体験に飢えているので当然鈍行を選ぶ。

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 前に乗ったのはいつだっただろうか。そういえばこんな形の船だったな〜〜と思った。乗ってる間に自然発生的に乗客みんなで革命歌を歌い出すようなパンチの効いた思い出こそないけれど、家族、友人、色んな人と乗っており、それなりに思い入れの強い乗り物ではある。

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みなとみらいの景色。船内には気が早い正月飾りが置かれている

みなとみらい、AIR CABIN、北仲などなど色んな所から眺めてきたが、やはり船上から眺めるのが一番良いと思う。赤レンガ倉庫桟橋に向かう辺りが一番綺麗に見える。

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横浜ぷかり桟橋に着いた辺りから後部甲板に出た。この日は風が無く、そこまで寒さを感じずに風景を楽しむことができた。しばらくすると右手に見えていた瑞穂埠頭の米軍ノースピアに背を向けて、シーバスは横浜駅方面へと運河の奥へ奥へと入っていく。

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横浜市中央卸売市場の放棄された埠頭

 横浜市中央卸売市場の脇を通り過ぎる。市場裏手には長年使われず、荒れ果てた埠頭が見える。水上交通華やかなりし頃は、全国の農水産物がこの波止場から荷揚げされていたのかもしれない。

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 シーバスは終点手前で高島線の鉄橋の下をくぐる。錆びついた鉄橋をくぐり終えた時、丁度鶴見方面から貨物列車がやってきた。石油を運んでいるのだろうか*2

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横浜駅東口。横浜駅からは結構遠い

 横浜駅東口着。ここはいつ来ても薄暗くて、お世辞にも雰囲気が良いとは言えないが、それ故に「港」感はかなりあると思う。ここから橋を渡り、そごうを通り抜け、地下道を通るとJR横浜駅の改札に出る。私鉄や地下鉄を使うなら更に歩かされることになる。

 というわけで、40分の船旅を堪能した。これで700円、正直めちゃくちゃ安いと思う。希望を言うともっと駅前に埠頭を作って、多様な路線を出してほしいというのはある*3。これを生活の足として普段使いしたい……尤も、日々二子玉口岸で跨境している新界居民にとって、海沿いの市區にいくこと自体が非日常ではあるのだが。

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晩は清風楼の燒賣と大珍の蝦餃を蒸した

*1:ハマもカジノ作ったらこういうの全部無料になったかな。ならんか……

*2:どうやら根岸駅までの返空車らしい

*3:ノースピア完全返還の暁には、瑞穂埠頭がシーバスを中心とする都市水上交通のハブとして整備される……という夢のある提言が、2010年3月に横浜市インナーハーバー検討委員会によって出されている。横浜市インナーハーバー検討委員会『次なる50年 横浜は海都へ:「都心臨海部・インナーハーバー整備構想」提言書』横浜市、2010年、11-12頁。