亞的呼聲 Adiffusion

中華と酒と銭湯と

崎陽へ行く(温泉編)

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海外旅行してるていなのである。今回の旅のテーマは華人の街「崎陽」を旅するということで、機場からいきなりそれっぽくて気分が盛り上がる。

長崎空港は実は大村市にあるのだが(だから建設途中の写真だと新大村空港という名前だった)、旧滑走路と思しき海自基地には掩体壕とかが残っていて、海軍時代から基地の町なんだなと思う。大村藩2万7000石の城下町としても見所があるらしく、興味をそそられた。とはいえ今回のテーマは華人の街「崎陽」なので……

 

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とかいいつつ初日からいきなりテーマがブレるが、僕は上海辺りから船で来た鬼佬なので、とりあえず高くて涼しいところ、PEAKに登るのである。鬼佬は極東の低地にいると熱帯病や性病に罹って即死してしまう。雲仙までの道は山がちで、谷の奥へ奥へと棚田が続いていくような集落が多く、少し新界東北感があった。元々は「温泉」と書いてウンゼンと読ませていたんですね

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あといい加減温泉浴びないと駄目、11月に入ってから下唇の全ての皺が裂けて出血し、この島の冬というものを嫌でも思い出すことになった。宿に着くまでに地獄の脇を通るわけですが、圧倒的な蒸気量で道路が見えなくなっていて、俄然テンションが上がる。そう、この記事は8割方(バスタブと温泉に飢えている)在港邦人(或者d之前經常飛日本過嚟浸溫泉嘅香港人同其他地區嘅華人)の皆様に向けて書かれている訳なんですね。刮目して見よ

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鬼佬なので宿は

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親の顔より見た「博愛」。そう、今回の旅のテーマは華人の街「崎陽」なのである

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図書閲覧室もビリヤード場もいい感じだ。何日もここに滞在する人なら、一日ずっとここで本を読んだり物書きしたりできるのだろう。さぞかし捗ることと思う、羨ましい。

このホテルはクラシックであることを売りにしつつも、トイレや浴場など水回りや、壁紙などは更新を繰り返しているようだ。世の中自分の使う便所に歴史の重みを感じたい人は多くないだろうから(なんだかんだ言って自分もトイレは綺麗な方が嬉しい)、経営体として真っ当な行為だろうと思う。歴史的建築物を活用する上で、便所をどうするかというのは結構難しい問題のようで、用途に応じて色んな解が存在しているのが面白い*1

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晩餐は涼菜、肉(雞)、湯(海鮮)、魚(太刀魚)、肉(鹿)、甜品とフルコースで出て来、満腹感が凄かった。というかフルコースちゃんと食うの人生初かもしれないな。食材は長崎県産(特に雲仙産)に拘っていて、調理法も古臭さを感じない。どれもちゃんと美味しく、パンがモリモリ減っていった。とはいえ素人なので何にも言えないのだが。人は語り得ぬものについては沈黙しなければならない……

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朝も涼菜、酸奶、湯、雞蛋と順番に出てきた。昨晩以来バターの摂取量がおかしい

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晩と朝とホテル付属の浴場で温泉に浸かったのだが、少し薄く感じられたので違う源泉にも浸かろうと小地獄まで15分ほど歩いた。ホテルロビーの方曰く、ホテルの浴場は源泉から1kmほどパイプラインで引いているものなので、その間に成分の沈殿があり薄くなってしまうとのこと。

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浴場では午前中から多くの常連さんが入浴に来ていた。このご時世だから自分から積極的に話しかけたりはしなかったものの向こうから色々と話しかけてくださり、御蔭で現地の入浴習慣やこの浴場の歴史について伺うことができた。

小地獄は公衆浴場の真裏が源泉で、浴室脇の休憩室から朦々とあがる湯気を望むことができる。温泉成分も直で浴槽に注がれるため、白濁が強く湯温も高い。浴槽は2種類あるが、常連はあつ湯を好むそうだ。那須でも高温の浴槽に微動だにせずに浸かっている老人をたくさん見たが、日本列島にはこういう肌の感覚が進化した爺さんが何万人もいるんだろうな


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地獄めぐりもした。今でも轟音を挙げて蒸気の迸っているような場所が多く(これを見てしまうと那須の地獄は中世に比べてだいぶ勢いが失われたのだろうと思う)、近世にはキリシタン弾圧の拷問にも使われたらしい。本当に地獄だな……

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大叫喚。というわけで、昼前に雲仙観光ホテルを後にし、山を降りて崎陽の街へと向かっていくのだ。

*1:そういえば、御影公会堂は改修されてから行っていないが、あそこの便所はどうなっただろうか