亞的呼聲 Adiffusion

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香港の山がすごかった①:馬鞍山

はじめに

香港のレジャーの一つにハイキングが挙げられる。
香港の人たちにオススメされることも多く、また書店には「行山(hàahng.sāan)」についての本も沢山並んでいる。instagramでもHike迷や山ガールの自撮りがめちゃくちゃ出てくるほど人気なのが窺われる。
もっとも正直な所、自分は「香港って植民地期以前の歴史建築もあんまりないし、文化景點が少ないからその反動じゃない?」などと若干ナメたことを思っていたのですが、

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吐露港の向こうに聳える馬鞍山(702m)

新界でこんな風景目前にしたら印象が全然変わるわけです。山の形がどうかしてるし、大体こんな低緯度なのに森林限界300mとかなのか?と思えるくらい稜線の風化がすごい。もっとも、香港島の時点で相当に険しい印象はあったけど…

常々「香港は何もかもを大袈裟にした神戸」と言っている僕ですが、街の背後に屏風のようにそそり立つ香港の山々はまさに六甲山系を彷彿とさせる。

今まで香港の山に関心がなさすぎて全然知らなかったけど、日本人も結構ハイキングを楽しんでおり、トレイルの解説本なども出ているし、ブログとかでも色んな登山レポを読める。

香港アルプス ジオパークメジャートレイル全ガイド

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 というわけで、自分も空いている日には体を動かそうと、早速馬鞍山へと向かったわけである……

①馬鞍山

水浪窩(15:30)~麥理浩徑第4段~馬鞍山(17:30)~牛押山(17:58)~吊手岩(18:44)~馬鞍山家樂徑~馬鞍山郊野公園燒烤地點(21:00

この日は出遅れた上にバスの乗り継ぎに失敗し、ルート起点到着が15時半になってしまった。今回は下見にしよう、麥理浩徑を途中まで行って、日没前に戻って来ればいいか…と思っていたのですが 

馬鞍山

この風景に当てられ、「ここの天辺から夕焼け見ると綺麗だろうなァ…」などとおもってしまった。実際、麥理浩徑は総督の名前が付いたメジャートレイルなだけあってかなりよく整備されており、多少の無茶がききそうな感じはあった(ナメている)。

馬鞍山

こんな物々しい警告を越え、馬鞍山の尾根筋を登っていく。麥理浩徑とはここでお別れになり、道も一気に心許ない感じになっていく。

馬鞍山

山肌からは灌木も失われ、異様に見晴らしがいい。尾根筋にいるので下から吹き上げる風を受け、心地よさ反面、バランス崩すことへの恐怖や日没への不安が増していく。

馬鞍山

分岐点から30分近くかけ、漸く山頂(702m)へ到着。360度何も遮るものはなく、最高の見晴らしだ。最もすでに太陽は沈みかけており、

馬鞍山

続く牛押山(677m)、吊手岩への道が尾根伝いに伸びている。あっこれ須磨アルプスの「馬の背」じゃん、流石は「馬鞍」山。尤も、こっちのが余程きついが…

結局、糧秣も飲み水も切れる中、真っ暗の中吊手岩の崖に垂らされたロープを伝ったり、四つん這いで岩肌を掴んだりしつつ、なんとかこの山を下りてくることができた。

牛押山に辿り着いた18時頃にはすっかり辺りも暗くなっていたため、吊手岩へのルートが見つけ辛く(ここも警告の看板を越えた先にルートが続いていた)、絶望感から暫し蹲ってしまった。一時はここで一夜明かす事も検討していた。本当に危ない…一人という事もあって、以前奥多摩の古道を歩いた時以上に恐怖を感じた。

日原古道に行った(その1:氷川→大沢→「古道」入口) - 亞的呼聲 Adiffusion

馬鞍山の尾根筋を渡る道は、メジャートレイルほど整備されてはいないけど、踏み跡以上の道はあるので、真っ暗な中でも道を踏み外して崖下に真っ逆様、というような危うさはそこまでなくて安心。ただ、やっぱりライトあると便利ですね。麓に近いところの東屋に辿り着いた時、人界に近づいた安心感から脱力してしまった。そのまま東屋で3,40分程気絶していたので風邪を引いたけど…

下山が遅れた怪我の功名として、蛍を見ることが出来た。今回見た種は結構大きくて、光も強くてとても幻想的だった。亜熱帯とはいえ晩秋に蛍がいるとは思わず、最初は疲労の果てに幻覚が見え出したのかと思って結構焦った。

おわりに

香港の山、思った以上に風景が壮大で気持ちいい。そして難易度も思っていたより高い所がある…当たり前だけど、余裕のある計画を立てて臨んだ方がいいですね。そもそも、馬鞍山は須磨アルプスと同じくらいの感覚で行く所ではなかった。標高も倍以上違うし……計画性の微塵もない人間なので、本当にこういう所が弱い。

今後、より装備を揃えて、身体も鍛えつつ少しずつ攻略していくつもり。楽しみです。アウトドア専門店のDecathlonが色々安く売っていて良さそう。部屋の椅子と机もアウトドア用の折り畳みをここで買った。