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明報「【一地兩檢】張炳良籲政府解畫:如果人大話得就得,使乜講7年? (12:22)」

 新年最初の記事は語学の練習にしようと思って、ニュース記事を『中国報紙研究法』の様式に則ってやってみようというやつをやった。もちろん文例は新聞社に権利があるので、万が一勝手に和訳して怒られが生じたりしていたら消します。無いと思うけど。
元記事はこちら↓、巷で話題の一地両検/joint checkpointについてです。拼音(粵拼)はイェール式でやっていきますが、例外的な発音や表記ミスがあるかもしれない

news.mingpao.com

【文例】

【一地兩檢】張炳良籲政府解畫:如果人大話得就得,使乜講7年? (12:22)

人大常委會通過的高鐵「一地兩檢」安排,雖然被大律師公會等本港法律界人士質疑欠法律基礎,但政府多番強調法律基礎堅實。不過,上屆政府曾經主理「一地兩檢」的運輸及房屋局前局長張炳良認為,政府應再作說明方案如何符合《基本法》,以釋除各界疑慮,明言「如果人大話得就得,使乜講咗7年?7日都得啦!」

張炳良接受《信報》訪問時指出,《基本法》起草時無考慮「一地兩檢」,故找尋直接應用「一地兩檢」的條文並不容易,但他不認為當中毫無空間,因《基本法》是「活的文件」,強調高鐵、「一地兩檢」都是好事。

至於方案被質疑欠法律基礎,張炳良認為政府應再說明方案如何符合《基本法》,以釋除疑慮,直言「如果人大話得就得,使乜講咗7年?7日都得啦!」他呼籲社會實事求是解決法律問題,不要把政治攙雜其中。

另外,卸任前曾在立法會稱若無法落實「一地兩檢」,「兩地兩檢」會是唯一選擇的張炳良,於訪問中改口稱:「『兩地兩檢』,唔係一個真正嘅選項。」

【文法】

・雖然(sèui.yìhn)〜
・曾經(jàng.gìng)
・如何(yùh.hòh)
・如果(yùh.gwó)…嘅話(ge wá)=若(yeuhk)
・使乜(sái.màt):何故,何をして〜せしめる
・故(gu)
・至於(ji.yù)
・另外(lihng.ngoih)

【語註】

・解畫(gáai.waahk)=解話、旁白:弁士が無声映画の解説をするように、聴衆に対して説明を行う
・人大常委會(yàhn.daaih.sèuhng.wái.wuih):全人代常務委員会
・一地兩檢(yàt.deih.léuhng.gím):高速鉄道利用者の利便のため,九龍の高速鉄道駅で大陸側の入出境審査を行うこと。基本法に書かれた「全国的な法律は……香港特別行政区では実施されない*1」規定との矛盾が指摘されている
・安排(òn.pàaih)
大律師公會(daaih.leuht.sì gùng.wuih):法廷弁護士barristerの職能団体
・質疑(jàt.yìh)
・欠法律基礎(him faat.leuht gèi.chó)
・番(fàan):[量詞]反復の回数
・強調(kèuhng.diuh)
・堅實(gìn.saht)
・屆(gaai):[量詞]定期的な会期、年次
・政府(jing.fú)
・主理(jyú.léih)
・運輸及房屋局前局長(wahn.syù kahp fòhng.ùk.guhk chìhn.guhk.jéung)
・張炳良(Zhèung Bíng.lèuhng):Anthony Cheung Bing-leung,1952年生,太平紳士。香港大学卒業後,イギリスの香港政庁に奉職。その後教職の傍ら返還前後は匯點(Meeting Point,香港で最も早期に結成された政治団体)主席や民主党副主席など民主派の政治活動を主導,2004年に民主党を脱退した後は翌2005年に香港行政会議非官守議員,2012年から2017年までは運輸及房屋局局長に任じられ香港行政会議官守議員であった。梁振英政権下で高速鉄道政策に従事した人物。
・認為(yihng.wàih)
・說明(syut.mìhng)
・方案(fòng.on)
・符合(fùh.hahp)
・《基本法》(gèi.bún.faat):香港特別行政区基本法,香港のミニ憲法的なもの。その解釈権は全人代常務委員会が有する。
・釋除疑慮(sìk.chèuih yìh.leuih)
・明言(mìhng.yìhn)
・接受(jip.sauh)
・《信報》(seun.bou):信報財經新聞。1973年創刊。経済・金融ニュースがメインで,政治評論も強い。「センセーショナルさが目立つ香港の新聞業界で確実にクオリティペーパーとしての位置にある。*2
・訪問(fóng.mahn):インタビュー
・指出(jí.chèut)
・起草(héi.chóu)
・考慮(háau.leuih)
・找尋(jáau.chàhm):探す
・直接(jihk.jip)
・並不容易(bihng.bàt yùhng.yih)
・當中(dòng.jùng):among, in the middle
・毫無空間(hòuh.mòuh hòng.gàan):全く余地がない
・活的文件(wuht dìk màhn.gín):Living document。生きた文書,随時更新文書
・呼籲(fù.yuh):アピールする、呼び掛ける
・社會(séh.wúi)
・實事求是(saht.sih.kàuh.sih)
・解決(gáai.kyut)
・政治(jing.jih)
・攙雜/摻雜(chàam.jaahp):混合する
・卸任(se.yahm):離任する
・立法會(lahp.faat.wuih):基本法に基づき設置されている香港特別行政区の立法機関で,直接選挙と職能団体別の間接選挙議席枠がある。
・稱(chìng)
・落實(lohk.saht):履行する
・唯一選擇(wàih.yàt syún.jaahk),選項(syún.hohng)
・改口(gói.háu):発言を修正する

【譯】

【一地兩檢】張炳良、政府の説明を要求:もし全人代が大丈夫だと思っていたなら、どうして7年もかけたのか? (12時22分)

全人代常務委員会を通過した高速鉄道の「一地両検」計画は,大律師公会等の本港法律界人士によって法的基礎を欠いているとの疑義がなされているものの,政府は幾度も法的基礎が堅実であることを強調している。しかし,前政権で「一地両検」の主任だった運輸及房屋局前局長の張炳良は,政府は方案が如何に《基本法》に適合しているかを再度説明し,以って各界の疑念を払うべきだと考え,「もし全人代が十分であると考えているならば,どうして7年も説明に費やしたのだろうか?7日で十分だったはずだ」と明言する。

張は《信報》のインタビューを受けた際,《基本法》起草時に「一地両検」は検討されておらず,故に「一地両検」に直接適用できる条文を見つけることは決して容易ではないことを指摘した。但し彼はその中に余地が全くないとは考えてない,それは《基本法》は「生きた文書」であるからであり,高鐵と「一地両検」は良いことであると強調する。

方案が法的基礎を欠いていると疑われていることに関して,張は政府は方案が如何に《基本法》に適合しているかを再度説明し,以って疑慮を払うべきだと考えており,「もし全人代が十分であると考えているならば,どうして7年も説明に費やしたのだろうか?7日で十分だったはずだ」と明言した。彼は社会に対して実事求是で法律問題を解決し,政治をそこに混ぜ込まないように呼びかけた。

このほか,かつて解任前に立法会において,もし「一地両検」がどうしても履行され得ないならば,「両地両検」こそが唯一の選択肢であると発言していた張炳良であったが,インタビュー中では発言を修正した:「『両地両検』は,正しい選択肢ではない。」

【解説】

 中港間の鉄道交通は今まで九広直通の列車しかなかったが、今新たに広深港高速鉄路を作る計画が進行中であり。その際、新築する西九龍駅構内で香港側と併せて中国側のチェックポイントを設けて双方の税関・出入境管理を行ってしまおうというのが「一地両検」であるが、香港の領域内に大陸の法律によって管轄される空間を作ってしまうことになるため(中国側検問を通る以前、車内・線路上での問題はどちらの法で処理されるのか、など)、香港の基本法に抵触し、自治が脅かされるのではないかという懸念が存在する。法律関係者はこれに反対を表明する者がいる一方で、基本法の解釈権は北京の全人代常務委員会に握られているため、最終決定権が香港サイドにないという諦めと、ここで揉めると余計に香港の自治への締め付けが厳しくなるのではないかという別の懸念も提起されている。
 尤も、多くの市民にとってはそんなに重要な話でもなく、関心は薄いのかもしれない。去年のうちに立法会での法案通過も全人代の了承も得ており、政府の計画のまま進行していくと考えられる。全て段取りが決まった後になって政府関係者が「皆様の理解を得られるようしっかりと説明する必要がある」などというのは我が国にもよく似ている気がする。とはいえ、張炳良の立場をどう理解すればいいのか、現代は不勉強なので把握しかねています。

 

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