亞的呼聲 Adiffusion

中華と酒と銭湯と

韓国の“シュポ”で飲む、日本で

はじめに

韓国のシュポ(super, 슈퍼)をご存知だろうか。マートゥ(mart, 마트)ともいい、日本のスーパーより小さな、食料雑貨店を指すらしい。

働いている人がジュースや茶菓子を買ったり、仕事終わりにビールを買ったり、残業のときにカップ麺を買ったりするところ、それがシュポだ。
  出典: 【KOREA TRAVEL】 韓国の旅と酒場とグルメ横丁 #23 安くて情緒のあるソウル版“角打ち”|TABILISTA[タビリスタ]

 住宅地や工場の付近に多いらしい韓国のシュポだが、夜には店頭で酒類とともに軽食もつまめる「角打ち」に近い業態でもあるらしい。その詳細は先に挙げたリンクを参照していただくとして、今回はこうした韓国版角打ちであるところのシュポ飲みの雰囲気を日本で楽しめる店舗を紹介したいと思う。

 とはいえ、僕自身は韓国を訪れたことは1度しかないし(2011年)、その際もシュポでお酒を飲むことはなかった(街角のシュポで飲み物を買ったことはあったかもしれないが)。あくまで当該記事などの情報や角打ち巡りの経験の中での「これってそうじゃない?」という僕のイメージだけで判断していることをご容赦願いたい。

①韓日食品(大和駅, 神奈川県大和市

 大和市といえば、近年では境川を挟んで横浜市にもまたがって存在する「いちょう団地」が多国籍地帯として有名だが、厚木飛行場や高座海軍工廠の建設のための労務動員・戦時徴用によって韓国・朝鮮人コミュニティが形成されて来た土地でもある*1。戦後もインドシナ難民の受け入れや南米からの日系人流入を経て、県央における多文化共生の最前線となっているようだ*2

 https://www.instagram.com/p/BTvnqZihPRa/

大和駅前は地下化された相鉄線の跡地がやけに空虚な雰囲気を醸し出しているが、東口を出たとこすぐには純喫茶フロリダと南店街が強烈な存在感を放っている*3

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この大和駅東口側に韓国食料品店「韓日食品」が存在する。偶々通りがかった時に店内中央部に6-8人ほどで囲めるテーブルが見えた時点でめちゃくちゃテンションが上がりました。

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店内、ラックには袋麺やスナックが所狭しと陳列されており、また入って右手の冷蔵庫には生鮮品、キムチ、飲料が並べられている。勿論これらを食べても良いのだが…

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そう、ここ韓日食品では店頭のフライヤーでヤンニョムチキンを揚げており、出来立てをその場で食べることが出来るのだ。今回(2017年5月)は勿論これ目当てなので、友人に声をかけて複数名で訪問した。

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チキンが揚がるまで、スナックや韓国海苔などの乾き物、突き出しをつまんで韓国焼酎を飲んで待つ。アルコールはこれとアサヒビールだけだっただろうか。

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スナックを食べたり袋麺を袋のまま食べたり*4しているうちにチキンが揚がった。この時点で結構焼酎が回って来ていた笑。チキンはプレーン、ヤンニョム、テリヤキの三種類+骨なしが選べ、1羽2,600円、ハーフ1,400円。1羽の方はドリンク付である(2017年5月現在)。

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にしてもヤンニョムチキンのこの照り…肉と油と味の濃いものは最高という気持ちにさせてくれます。酒が無限に進む。2軒目行く必要がないほど満腹、いい感じに酔うまでモリモリ飲み食いして3000円いかなかったかな?焼酎で曖昧になっていたので曖昧です。

 

韓日食品
住所: 〒242-0017 大和市大和東1-2-8 小笠原第1ビル1F
TEL: 046-264-4135
営業時間: [月・水・金・日]10:00~22:30 [火・木・土]09:00〜24:00
予算: 999~3000円? 消費の内容にもよるけど曖昧です

②HAPPY(西川口駅, 埼玉県川口市

 埼玉の西川口といえば、池袋に続く新興チャイナタウンとして近年俄かに脚光を浴びつつある街だが、池袋と同様ここには中華系のみならず様々なアジアの人々が暮らしている。NK流の衰退との関連や治安の悪化などをめぐってセンセーショナルに(というか悪し様に)取り上げられることも多いこの街、とはいえ一散歩者として眺めるならば治安などは普通の街とどこも変わらない印象を受けた。東北本線埼京線を使って都心に出やすく、また公団住宅など低廉な賃貸住宅が存在し、同胞が多く余所者に優しい街ということで外国人人口が増えているのだろう*5
 生活習慣の違いやゴミ捨てなど地域ルールの遵守をめぐって摩擦も確実に存在しているようだが、文化交流などを通じて地域コニュニティへの包摂を目指す取り組みも行われている。

https://www.instagram.com/p/BZdVujYBBKO/

 この街にはいくつか韓国食料品店があるが、その中でも今回紹介するHAPPYは、食料品店の半分が居酒屋になっているような業態だ。HAPPYのあるのは西川口駅東口側。並木3丁目にあった公団住宅*6が解体されてから、多国籍街といえば西口方面のような雰囲気にもなっているが、HAPPYが位置する並木商店街を中心に、食料品店やレストランが点在している*7。この日(2017年9月)は昼前から臊子面、鸭脖、麻辣小龙虾、羊肉串などを食べ歩き、最後の最後に訪問した。

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HAPPYはこのようにちょうど角に面した立地で、写真右手、看板の下の入り口が食料品店サイド、左側が食堂・居酒屋サイドだ。

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店内。食料品店サイドと飲食サイドの間には特に仕切りはない。鍋ができるようなテーブルも置かれている。

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 壁に掲示されたメニュー。サワー類が400円、ハイボール、日本酒、食事メニューが500円、ということだろうか。値段の書いていないものもあるので、この辺は聞いてみないと分からないだろう。とりあえずチヂミを注文し、マッコリのボトル1200円をみんなでシェアする感じで飲み始めた。
 この「華本生マッコリ」だが、日本産コシヒカリと韓国の小麦麹を使って千葉で製造されているものらしい。調べると去年から製造・販売が始まったそうだ*8。マッコリ、度数も味も優しくてスイスイ行けますね。

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待っている間に突き出し3品。切り干し大根、らっきょう、ギョニソの炒め物である。どれも美味い。塩気があってマッコリがバンバン進む。ボトル2本目へ…

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キムチが出て来た。このキムチ、しっかり酸味があっていかにも本場という感じ。マッコリとの相性は勿論抜群だった。この辺りでもう半ば気づいていたのだが、結果としてチヂミのオーダーは通っていなかった。僕は途中で抜けてしまったのだけど、全部込み込みで一人1000円だったらしい。ここも非常によかったので、今度は鍋でも食べに行きたいと思います。

[追記]
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 12月に西川口の「小城」で忘年会をすることになり、0次会としてHAPPYを再訪した。テーマは「チヂミリベンジ」である。今回もキムチを含めた3種類の突き出し(お代わり可能)が供される。今回は友人が棚から選んできた「天地水 純生マッコリ」を飲みながら。突き出しどれも美味いなァ…

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 そうこうしているうちに念願のチヂミとキムパッが出てきた。予想以上のボリュームがあり、それはとても嬉しいことなのだけど、この後には「小城」の羊肉の塊が我々を待ち受けているのである。少々心配になった。ちょっと減ってからの写真だけど、キムパッは1本(10個カット)で供されました。
 常連のおかあさんからは乾き物のおすそわけもあり、マッコリがガンガン進んでいく、と同時に1次会、大丈夫なのか?という…3人で行って1人1,600円。大満足ですね。

https://www.instagram.com/p/BdElsMWHIaZ/ 

結局「小城」でも羊肉モリモリ食って白酒ゴクゴク飲んだので、没問題だったが。

HAPPY
住所: 〒332-0034 埼玉県川口市並木3-3-16
TEL: 048-254-3556
営業時間: 不明
予算: 1000 円~? 

おわりに

シュポ飲みin日本というテーマで2店紹介したが、如何だっただろうか。
 角打ちとも韓国食堂ともまた違う雰囲気があって楽しめると思います*9。この2店以外にも、日本には同様の業態の「シュポ」がもっとたくさんあると思うので、情報お待ちしております。

新・中華街 世界各地で〈華人社会〉は変貌する (講談社選書メチエ)

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自治体の変革と在日コリアン

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*1:神奈川外キ連:在日者の足跡「厚木飛行場と高座海軍工廠」」外国人住民基本法の制定を求める神奈川キリスト者連絡会, 2017年11月12日閲覧

*2:大和市/多文化共生

*3:元々は戦後に建てられたマーケットの類なのだろうか。無関係かもしれないが、大和市HPの年表には、1947年に大和国際マーケットなるものが駅前に建てられたとあった。1947年10月に米軍が撮影した航空写真を見ると、ちょうど南店街のある辺りにそれらしき建物が存在するように見えるが……今後時間があれば確認したい

*4:韓国軍隊式?らしい。「뽀글이」で画像検索してみてください

*5:郊外化する華人ニューカマーに関しては、江衛・山下清海「公共住宅団地における華人ニューカマーズの集住化−埼玉県川口芝園団地の事例−」筑波大学大学院生命環境科学研究科『人文地理学研究』第29号、33-58頁

*6:一階の商店部分が中国系の食料品店、レストラン、インターネットカフェで占められ、完全に中国の地方都市の風景そのものだった。

*7:既製の食料品のほかに惣菜も販売している永興マート、ウイグル料理が食べられるアパンディンキッチンなどはこの並木商店街に位置する。かつて並木3丁目の公団住宅に入っていた中国東北料理の小城は移転、駅からやや遠いものの西青木1丁目に以前より広くて綺麗な店舗を構えた

*8:民団新聞: 韓日友情の華マッコリ誕生…日本産米×韓国の小麦麹

*9:同様の業態だと、日系ブラジル人向け食料品店の飲食ブースなどが挙げられるだろうか。気になるのは、中国物産店でこのような業態を見たことがないのだ。この辺にも文化の違いが表れているようで面白い。