亞的呼聲 Adiffusion

中華と酒と銭湯と

香港土産の柱侯醤で「蘿蔔炆牛腩(牛バラと大根の煮込み)」をやってみる

  • はじめに
  • 食譜
  • 結果・考察

はじめに

 年初の週末に数日、香港に行ってきた。今回は完全に行楽目的で…天気は悪かったけど色んなスポットをまわることができた。

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 蓮香樓に案内する途中でたまたま通りかかった調味料の店(九龍醬園)。色んな調味料が並んでいて楽しい、が、全く使い方がわからないので色々話を伺ったりした。値段がラフな蘇州碼で書かれていて解読に非常に難儀する(店主が読むのに苦心している様子を面白がってくれて、途中からクイズ形式のやり取りになった)。

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ブログ名を変えた

標題の通り、ブログ名を変えた。

 というのも、当初なんとなくつけていた「無農日記」なるタイトルがあんまりしっくり来ていなかったからだ。「残留農薬」というHNをマイナーチェンジを経ながらも10年位使い続けていて(Twitterの「のうやくん」もそのバリエーションの一つである)、このブログ名もなんとなくその惰性で付けた感じであった。

 当初は何かしら、140字より多く書きたい時に使うくらいにしか考えていなくて、ブログの色がどんなものになるかあんまり想定できていなかったので、まあそれでも良かったのだけど、10数記事書いてみて、やはりこのブログは日本も含めて東アジアの文化・社会的な内容が多くなりそうなこと(当初から特に、中華・酒・銭湯の三本の矢を念頭に置いていたが、銭湯関連記事が無い…)、その際「●●日記」だと、名前からどんな内容のブログなのかはっきりしないし、イマイチ印象にも残りにくいと思った。

そこでちょっと色々考えてみて、結果としてブログ名を

「亞的呼聲 Adiffusion」

とすることにした。由来なんかどうでもいいことだけど、どうせすぐに蘊蓄捏ねたくて堪らなくなりそうなので(哀しいオタクの性)…大枠は、かつて香港にあったイギリス資本のラジオ・テレビ放送会社の「Rediffusion」から。この局は当初はBBCラジオの再放送番組から始まったので、RediffusionはRe・diffusion(再・放送)の意の造語だ。彼等は香港進出時にその社名を広東語で音を当てた「麗的呼聲(麗しい呼び声)」なる最高の翻訳に成功した。自分はこのセンスに惹かれていて、このブログを通して何かを発信(diffusion=呼聲)していくことを踏まえて、これに準じた名前を付けてみようと思った。本家は繰り返しを示す接頭語のre-を使用していたが、自分はa-を充てる事にした。a-は広東語の「亜」に通じるとともに、ギリシア語由来の接頭語で否定を表す。このブログからアジアについて発信すること、このブログではあんまり真剣に発信しないこと、この両方を表している、知らんけど。

http://fs1.omghk.com/mpw/2425/S00258/1430559497685_7984D47CC194A8E3918780E9EB4B374F.jpg

 正直どんな内容のブログなのか明示することには失敗してると思うし、印象に残るかも微妙な感じだ。耳馴染みも悪いし。薀蓄から入って決めていく中2病臭いキモ人(きもひと)の悪い、酸っぱ臭い所がモロに出ている。とはいえ、それなりに意味は通ってると思うので、今後はこれでやっていきたいと思う。宜しくお願いします。

【訳】植民地香港の最大の裨益者は誰か:イギリス、中国、香港?(by John Carroll, HK: SCMP, 17/01/18)

  • 【文例】
  • 【文法】
  • 【語註】
  • 【譯】

最近自らの英語力の弱さをひしひしと感じています。ということで、以下の英文記事を訳して練習したい。自分の訓練のための山寨訳なので、例によって権利関係は全部Carroll先生とSCMPにあります。

www.scmp.com

 寄稿者のJohn Carrollは香港大学の歴史系教授で、主要著書に‘Edge of Empires: Chinese Elites and British Colonials in Hong Kong’および‘A Concise History of Hong Kong’などがある。米国籍だが中等教育までを香港で受け*1、これらの著作には中国語資料も数多く使われている。後者は《香港簡史:從殖民地到特別行政區》との題で中文訳されているが、著者の了承を得ずに「和諧版」が出たという騒ぎもあった*2。現在は改訂版が出版されているのでそのような心配はなさそうであるが…

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絶対にやって来ない“鴨脖子”ブームを応援する

はじめに

www.google.co.jp

 例えばこのようなニュースが続々流れたように、2017年は年末にかけて「蘭州拉麺」出店ブームが再発見された。澄んだ牛骨スープに手延べの麺は、職人が日本に流入し続ける限り、これからも全国各地に増えていくことだろう。

https://www.instagram.com/p/Bcm-FBXhTpD/

「ザムザムの泉」(西川口)の肉蛋雙飛。非常に美味しい

 その一方で、ここ数年にもう一つのブーム(?)が底流していることはあまり注目されていない。それは「鴨脖子」だ。
 もとは清朝期の常徳に始まり、湖南から四川・湖北へと広まった料理であるらしい*1。鴨脖とはダックの首のことであるが、首をはじめさまざまな部位に味付けして販売しているのが普通だ。これらをタレで煮て漬け込んだ後(この工程を「滷」という)、乾かしたりの工程を経て、肉の表面は紅色〜茶色に、艶やかに色付く。味付けも様々あるが、湖南や四川という地名から分かるような激辛の麻辣味や、鹵水、可樂など様々な味付けが存在する。
 この鴨脖専門店、自分が思うにニューカマーによる新興のチャイナタウンがある程度の規模に育った際に登場する、ある種の指標として見ることができるのではなかろうか。現に池袋、西川口、亀戸などのチャイナタウンでは、一昨年〜去年に掛けて多くの鴨脖専門店が開店している。

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韓国の“シュポ”で飲む、日本で②:Lee mart@福富町, 横浜

 日本で韓国版角打ち・シュポ飲み(食料品店で飲酒することです)ができる場所、まだまだあった!多分全国津々浦々のコリアンタウンには沢山埋もれているのだろうと思う。
 そもそもシュポって?という方は以前のこの記事と、冒頭のリンク先などをご参考ください。前回も書いたけど、だいたいが自分自身韓国経験は未成年の時の1回(ソウル)だけなので、自分も本当のシュポとは、本当のシュポ飲みとは、が全くわかっていない。全て雰囲気でやっているし、この記事も雰囲気でやっていきます。

mounungyeuk.hatenadiary.jp

③Lee mart(福富町, 横浜市中区)※コロナ禍以降、飲食スペース閉鎖中

 横浜の外国人街(?)といえば、圧倒的に山下の中華街が有名であるが、あそこはやはり老華僑(オールドカマー)の街。ニューカマーの華人や、朝鮮の人々は阪東橋であったり、ここ福富町あたりに店を構えていることが多いようだ。

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 ここ福富町は関内と野毛の間に位置していて、クラブやスナックビル、ソープランドなどが軒を連ねる、妖しげな雰囲気の街だ。ソープランドなどの施設は建物の更新が出来ないといった縛りもあるのだろうか、全体的に戦後〜昭和で時が止まったような古ぼけた建物に、艶やかなネオンや看板が光り輝く。

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皇都戲院大廈(1952年~)を見に行く。

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 「皇都戲院大廈」という建物が、香港島北岸東部、北角(ばっごっ, Northpoint)の街中にある。北角はその名の通り香港島最北端に位置している、開港後早期に発展した福建人(と潮州人)の街で、戦後には上海人も流入し、1950年代-60年代初頭を通じてナイトクラブ、ダンスホール、映画館などが立ち並ぶ娯楽産業の中心地「小上海」として発展してきた。
 この建物は1952年に璇宮戲院(Empire Theatre)として建設され、1959 年にはモール・住宅のビルを増築(皇都大廈)し、名を皇都戲院(State Theatre)と改めて営業してきた、現存する戦後映画館建築の中では最古のものの一つである*1。映画館は1997年に閉館し、以降は卓球場として使用されているらしい。G階部分は細い路地が張り巡らされており、商店が並んでい(た)。
 かつて民国上海からやってきた華やかな娯楽文化がこの地で花開いていたことを今に伝えるこの建築であるが、第1級歴史建築に認定されているものの、再開発か保存かを巡って去年以降大いに紛糾している。

*1:活現香港「活現香港對舊皇都戲院(前璇宮戲院)文物價值的評估報告」、2頁(2018年1月8日閲覧)。活現香港は香港の歴史文化、歴史建築の顕彰・保全を目的とする団体(企業?)。スタディツアー(要予約:Tours - 活現香港 Walk in Hong Kong)もやっている

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明報「【一地兩檢】張炳良籲政府解畫:如果人大話得就得,使乜講7年? (12:22)」

 新年最初の記事は語学の練習にしようと思って、ニュース記事を『中国報紙研究法』の様式に則ってやってみようというやつをやった。もちろん文例は新聞社に権利があるので、万が一勝手に和訳して怒られが生じたりしていたら消します。無いと思うけど。
元記事はこちら↓、巷で話題の一地両検/joint checkpointについてです。拼音(粵拼)はイェール式でやっていきますが、例外的な発音や表記ミスがあるかもしれない

news.mingpao.com

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